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1990年、インターネットのサーバとブラウザが世界ではじめて開発されました。そしてその5年後の1995年、WINDOWS95の普及に伴い、インターネットユーザーが徐々にではありますが増加しました。しかしこの時は、まだ情報の発信者と受信者の意識の違い、あるいは国や地域の体制の違い等により、いわゆる「情報格差」が生じている時代でした。そして21世紀を迎えるあたりから、インターネットは企業や一般家庭でも浸透しはじめ、その後、インターネット通信網の発達とコンテンツの多様化等により、若い人から年配の人へと一気に普及しました。
そして21世紀が始まって20年、現在はどんな状況でしょうか。インターネットだけではなく、スマートフォン、デジタルタブレットの普及、さらにはAI(人工知能)のテクノロジーが急速、かつ高度に進化し広まるにつれ、私たちの生活はこれまで以上に便利になり、さらに、ほぼ言葉の境界を感じることなく生活できるようになりました。さらに5年たてば、この状況がさらに進化し、我々の想像をはるかに超えた世界になると思います。
このように僅か30年の間で起こった環境変化は、何も先進国に限ったことではなく、世界のあらゆる国々においても同様です。しかし、このインターネット技術がもたらした、一見平等とも言える世界の情報化において、実は日本人は、その恩恵を受ける反面、実際のコミュニケーション能力において少しずつ遅れをとっていると私は考えます。
先日、病院の待合室で看護師さんとある外国人の会話を聞いていました。看護師さんは、一方の手に初診のための問診票、もう一方に携帯型通訳器をもち、その外国人の患者さんから、現在の症状とか、過去の病歴とかを伺っているようでした。日本語で質問をその通訳器に向かって話し、その英訳を患者さんに見せているのですが、どうしても意味が通じないようで、見ていてハラハラドキドキ、いてもたってもいられなくなり、私が通訳をかってでる結果となりました。そして20個程度の質問を笑顔と共に英語で通訳し、日本語で問診票を作成しました。その後は、看護師さんからも、また外国人の患者さんからも大変感謝されました。つまり、私が言いたいことは、AIの技術が進む中でも、このような生身の人間の会話は、非常に意義のあるものだということです。実際のコミュニケーションが人間相互の理解だけではなく、新しい人間の出会いであったり、新しい文化の出会いを創出します。
AIを利用すれば、言語の問題は簡単に解決できると考える人は多いでしょう。しかし、人間対人間のコミュニケーションは、そのようなデジタル技術では克服できない微細な部分を補うことができるのだと確認しています。技術に頼るのは良いのですが、それとは別に自発的に学ぶということを忘れてはいけないのです。
代表 籔内 茂